さよなら数物セミナー

 1日目は、数物セミナーの話をしないといけないらしいのでします。ノリで書きました。そうしたら、私の性格がでて、言い訳が多くなってしまいました。短いお時間の中どうぞお付き合いくださいませ1。  2018年の9月に行われた合同合宿の後に、数物セミナー会員になって2023年の3月の大学卒業と同時に会員でなくなったので、4年半会員だったことになります。大学に入って楽しかったことというのは、だいたい数物セミナー周辺で起きていたことだと思いますし、一方で苦しかったことも結構ありました。  

初めての数物セミナー

 私が数物セミナーのイベントにはじめて参加したのは、京都での談話会でした。その時の自分は、行列式の計算は何とかできるというような状況だった気がします。わからないながらも講演を聞いて、自分もこんなことができるようになりたいと思ったのでした。実は、そこでの一番の思い出はーこれは折に触れて私が何度も話でいる事ですがーカレーです2。講演が終わってから、講演者や他の参加者とインドカレー屋に行ったのですが、そこで、こんな数学や物理がよくできる人でも、カレーを食べるんだということに驚きました。確かに人間というのは、食事をしないといけないもので、それは理屈としてはわかっているのですが、それでも感覚的に理解できないという感じだったのです。

こんな楽しいことってあるんだ

 談話会でモチベートされたのもあって、夏には合同合宿(第18回)に参加しました。この時は本当に楽しかったという思い出があります。勿論グダグダだったのですが、リレーセミナーをやってみて自主ゼミというのはこんなにも楽しいのかと思いました。また、数学や物理の話を常にできる、居心地の良すぎる環境に、ずっとこの環境で過ごしたいという気持ちでした。初対面で開口一番数学や物理の話ができる環境、しかも、みんな優しく教えてくれる。楽しくて仕方なかったのです。

 半年に一度のこのイベントのためだけでも、大学生をやっている価値があると思いました。実質的には、この合同合宿から、私の数物セミナーライフが始まった気がします。

後悔の中での誓い

 この話は今までに全然してこなかったのですが、実は19回の合宿をサボった裏で、大学受験をしていました。なんというか、当時行っていた大学が辛くて、もうやめたいと思っていたので、仮面浪人マンになっていたのでした。ところが、ところがです。半分、ジョークみたいな気持ちで大学受験をしたので、前期しか出しておらず、それも勿論良い結果ではなかったのですが、それ以上に、合同合宿をサボったことへの後悔が襲ってきたのです。あんなに18回合同合宿は楽しかったのに19回をサボってしまったというのが、19回合同合宿の楽しそうな様子を垣間見るたびにおそってきたのです。そこで、これからは合同合宿をサボるのは絶対にしないでおこうと、強く思いました。

もう後悔はしない

 20回合同合宿は、運営の仕事をしてみました。まだ、庶務の区がひとつ空いていたので、絶対に合宿をサボらない、そして、絶対に合宿の輪の中心にいてたおもしろ爆弾を取り逃さないという決意で、やりたいと申し出ました。その時は、メンタル的に相当厳しく、リレーセミナーの予習とかは地獄でだったのですが、やっぱりこれだなあという気持ちになりました。やっぱり半年頑張ったら、合同合宿という楽しみがないと、大学生活を送っていくのは厳しい、そんな気持ちになりました。

過去最高の合宿にするはずが……

 まず19回の合同合宿に参加しなかった反省を踏まえて、大学受験は、合同合宿に被らないように、後期試験のみ受験する予定にしました。また、リレーセミナーは、関数解析班になったのですが、とても楽しそうなメンバーだったので、とても張り切って予習していました。20回合同合宿のようにグダグダになってしまわないように、頑張って予習していたのです。運営としても、指揮補佐係という三役になり、これなら番付もかなり上がるだろう、これで一流の数物セミナー会員の仲間入りだと、希望に燃えていました。

 ところが、ところがです(この記事で2回目)。新型コロナウイルスという当時未知の脅威のため、中止せざるを得ないという判断になりました。とはいえ、その時は、半年後のには合同合宿を開催できるだろうと楽観視していたのでした。みなさんご存知のとおり、その後は大学もオンラインになり、外出自粛となり、と予想していたよりも状況が悪くなり、次に合同合宿を開催できたのは、2022年の2月になってしまったのです。

22回合同合宿

https://x.com/MathematicsSho/status/1498636961678266369?s=20 に感動的な文章があるので、参照してください。今更書きたい話もないなと思うのですが、完備性のために、リンクだけ貼ります。

一世一代の大決断、その舞台裏は……

 23回の合同合宿は、中止になったはずですが、そもそも私は参加申し込みしていません。それは、19回の合同合宿の直後にした誓いに反するのではないか、そう思われるでしょう。はい、誓いを破ったという気分です。なんでそういう行動をとってしまったのか、それには深い理由(わけ)がありました。単に院試があったといえばそれまでなのですが、受験のために合宿をサボるというのは、大きな決断ではありました。その決断ができたのは、22回の合宿が開催できて、運営の引き継ぎもできて、確かに自分がいない間におもしろ爆弾3は爆発するだろうけど、自分自身のためにも、周りのためにも、数物セミナーにしがみついていてはダメだ、そろそろ区切るをつけるべきだと思ったからです。あとはadvanced合宿は絶対に参加するからいいかという気持ちです。

数物セミナー会員としての集大成

 24回合同合宿は、なんといっても特別講演で話をしたのが思い出です。話はあまり上手くないというか、聴衆を退屈させてしまったと思うのですが、自分としては、これでほとんど全ての数物セミナーのアトラクションを遊べたという気持ちになりました。だって、会長もやったし、広報局長(勝手にそういうことにされたんですよね)もやったし、合同合宿の運営もやったし、オンライン談話会でも話したし、オフ会も参加したし4。強いていうならば、合同合宿の指揮をやっていないのですが、人前に立つのは苦手なので、まあいいかなと気持ちです。

 あと、直後にあった実質1回目である第2回数物セミナー合同合宿advancedは、改善の余地はいっぱいあるのだろうけど、とりあえず、まあ意味のあるものができて良かったという気持ちになりました。ここで念願のしおり係もできて良かった。

 書き忘れそうになったのですが、合宿で問題が起きて、真面目に話しないといけない(と私は思った)のに、みんなヘラヘラしてるからこれはダメだなと思って、一回場を締めた時がありました。この時は、割とシーンとして、場は緊張感に包まれました。で、きちんと話し合いが行われたのですが、私はそこで思ってしまったのです。この環境は、これ銀杏ですかゲームにとても適していることに。そして、数人でこれ銀杏ですかゲームをやりました。過去最高の芸術的なこれ銀杏ですかゲームができました。

だめじゃ〜ん数物やめへんで!5

 第25回合同合宿は、もう会員ではなかったはずなのですが、運営補助という名目で参加しました。断じて権力にものを言わせて捩じ込んだわけではない6のですが、なんか呼んでくれたので行きました。学部生でない運営補助が必要なのだったら、会長経験者とかが、運営補助をするという慣習にしてもいい気がしますけど、どうなんでしょうかね7。それはさておいて第3回のadvanced合宿も開催されたし、advanced合宿に参加するという意味では、もう少し居座っちゃおうかなあ8

だめじゃ〜ん、談話会をサボる。

 久しぶりに談話会を開催したいとずっと言っていたのを、私の先代の会長に会場を取ってもらうことで、談話会を開催しました。準備はめっちゃしちゃのに当日行きませんでした。なんでこへんのやと、みんなに責められましたが、自分は流石に一歩引くべきだなと思ったから、ということにしておきます9。私が話を聞きたいなあと思ってお願いした講演者が二人いたのに聞けなくて残念です。でも、開催できて良かったです。

だめじゃ〜ん数物やめへんで!2

 今の自分があるのは、数物セミナーがあったからです。数物セミナーがなかったら、大学編入もできていなかったかもしれないし、大学院で数学をやれていたかも怪しい。さらに、今のに人間関係の半分くらいは数物セミナー関連で築いたものだし、その他もだいたい数学・物理をやっている中で築いたものなので、ほとんど数物セミナーのおかげと言っても良いかもしれません。

 能力で選別される大学のような場所と違って、「数学が好き」とか「物理の話をするのが楽しい」とかいうことだけのあつまりであって、しかも能力で選抜しているわけではないのに、レベルの高い集団として機能している、というのはとても貴重で、素晴らしいことだと思います。そんな数物セミナーに出会えてよかったし、会員として活動したことを誇りに思います。

 会員になった頃は、ああいう人になりたい、こういうふうになりたい、そんな気持ちで先輩方についていくという感じでした。自分は数学も物理もあまり出来なくて、教えてもらうばかりした。また、運営についても教えてもらうことばかりでしたちゃんと貢献できたか、心許ないところはたくさんあります。で、今その先輩方で、ずっと会えていない人はいっぱいいるので、いつかお会いして、成長10を見せたいなあという気持ちでいっぱいです11

 今では、数物セミナー会員は、ほとんど皆、自分よりも後に入会した人で、数物セミナーを通りし関わりを持った人も大抵後輩と言って良い12人ばかりになってしまいました。仲良くしてくれる人がたくさんいて、自分のような人間が他人にこんなよくしてもらえることがあるんだという気持ちです。とても嬉しいです。みんなありがとう。こんなたのし人たちの輪からはどうやっても抜けられへん13。合同合宿advancedとか、談話会とか、特に理由のないオフ会とかは、なんぼでもいく14で、ほな。


  1. 数学セミナー2023年12月号pp.13-pp.17
  2. 先日、数学セミナーに数物セミナーが載ったわけですが、「よこがお」の欄にその記事を書いた工藤さんが数物セミナーをカレーに例えて話を書いていた15のでとても嬉しい気持ちになりました。工藤さんのカレー好きなところは本当に推せます。
  3. 合同合宿では、異常に面白いことが起きます。これを「おもしろ爆弾が爆発する」と言う慣わしになっています。
  4. 最近は実施されておらずとても残念に思うのですが、昔はオフ会と称して、総会の後もう一泊して、観光をして帰ったりなどしていました。私が参加したのは18回だけなのですが(20回はなんやかんやで実施しなかったので)、総会の後は施設で遊び、次の日に退所してから後楽園とか観光しました。とても楽しいイベントなので、ぜひ復活して欲しいです。また、OBOG含めて、特に理由のないオフ会も開催してほしい、開催されたら行きます、というか、積極的に開催したいです。
  5. https://dic.pixiv.net/a/さようなら山崎邦正
  6. 恐怖で今も会員たちを支配しています。嘘です。こういうのが老害ムーヴなんだよな。
  7. これも老害ムーヴ。自分で書けば免責されるということではない。
  8. @yozo_poya1010 が、老害やめようっていってたけど、https://dic.nicovideo.jp/a/俺の答えはこれや 。というか、こんなアドカレ作成してるもの……
  9. ほんとかなあ
  10. 数学は、この頃と比べると、少しできるようになったと思います。
  11. 最近、研究集会に出席して、一番下の立場でいる居心地の良さを再確認しました。私は結構人見知りなんですが、人見知りで喋りかけられないみたいなふうで、そわそわしてると話しかけてくれたり、これこれ、これが一番いいんだよなあ、という気持ちになりました。それ以外にも、一番下は人に気をそんなに使わなくて良い。割といい加減な振る舞いをしていても許される16ので本当に楽しい。一番地位が低いものとしての活動をとてもしたくなってきました。
  12. 先輩後輩という言葉は好きではないのですが、この記事では便利さに負けて使っています。
  13. 数物セミナーは学部生のものだからというのは、もともとの精神だけど、それは変わっていくということなのかもしれない。今のところはそれを言い訳にする方向性です。
  14. こないだの談話会は……?
  15. 数学セミナー2023年12月号pp.37
  16. お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな